今回は7月1日に行われた若葉台小学校での対話型鑑賞授業の報告です。

授業の実施は、6年生３クラスと特別支援学級たんぽぽの４クラス。

前回に引き続き、学生にだけでなく、図工の先生・保護者の方々にもファシリテーター役をやっていただくことに！（なんと図工の先生は旅ムサ出身の先生でした）

参加した学生は、６名。作品の説明とファシリテーターどちらも行いました。

今回参加した学生は、全員対面での対話型鑑賞を行うのが初めてでした。朝、ドキドキしながら自己紹介。

対話型鑑賞の最初はじっくりと見ることから。2分間、児童たちは作品を黙って見つめます。

「何か気づいたことある？」と聞くと児童はたくさん話し出してくれました。上の写真は金岡さんの作品。「ゾウに見える！」や「マステいっぱい使ってる！」など気づいたことを嬉しそうに発表してくれます。

他の子の意見を聞いて「あ！確かに！！」とクラスで盛り上がったり「他の見方した人いる？」と聞いた時にユニークな発想で発言しているのを見ると、みんなの良さがどんどん見つかっていく対話型鑑賞の良さを実感しました。

作者の作品への思いも真剣に聞いてくれて、たくさん質問をくれる子もいました。時間内に終わらず先生に急かされる場面も。そこまで美術に関心を持ってもらえたことがとても嬉しかったです。

授業終了後、作品を持って階段を降りていると6年生が二人「今日めっちゃ楽しかったです！」と話しかけてくれました。

片付け後、学生・図工の先生・保護者の方々で振り返り。

学生たちには、すごく楽しかったという感想の一方で、もっとこうすれば良かったという後悔が残りました。

下、参加した学生からの感想です。

今回対話型鑑賞授業に参加できて本当に良かったです。実際に子どもたちと会話をすることによって様々な発見がありました。子どもたちは本当に広い視点を持っていて、一つの見え方を提示した後でも、またすぐに他に見えてきたものを教えてくれました。その頭の柔らかさや回転の速さには驚かされました。また本来の目的である、他人との見え方考え方の違いを感じ相手を受け入れコミニュケーション能力を図る、ということが実現されていて良かったです。誰かが発表すると必ず「たしかに！」など共感の言葉が出てきて話が盛り上がっていたのは、ファシリテーター側としてもとても楽しかったです。時間管理や質問の仕方など自分の運営力が力不足な部分もありましたが、今回実際に授業をやることで気づくことが出来ましたし、これから美術教育について考えていく過程でとても重要な資料になりました。

企画してくださった三澤先生はじめ、図画工作専任の小手森先生、身の回りの準備をしてくださった小学校の先生方、送迎や運営の仕切りをしてくださった安藤さん、サポーターの保護者の皆様、リーダーを勤めてくださった飯塚さん、共に授業を盛り上げてくださった学生のみなさんありがとうございました。

（芸術文化学科一年　金岡きらら）

対話型観賞というものの存在は知っていたもの、どんなものかいまいち知らずにいました。今回参加してみて感じたのは、美術は自由な見方ができることを伝える手段としてこれからもっと広めていきたいと考えました。特に児童の見方はとてもユニークです。前日練習で保護者の方々と対話型鑑賞を行ったときは、私の書いた抽象画から感情をたくさん読み取っていただきました。それいった視点から鑑賞を共有することもとても面白いなと感じましたが、児童と行った時には、作品内から動物をたくさん発見してくれました。大人と子どもの見方はここまで違うのか、ととても興味を持ちました。

（芸術文化学科一年　飯塚叶子）

　まず初めに、今回ご協力いただいた若葉台小学校の先生方、保護者サポーターの皆様、そして今回の企画を我々に紹介してくださった三澤教授及び社会連携チームの皆様に心より感謝申し上げます。

　大学選びの時点で素敵な営みだと思っていた旅するムサビ、そして対話型鑑賞に今回初めて参加させていただいて、とても貴重な経験ができたと思います。

　今回対象となった小学校6年生は自分や世界を客観視することが可能になり、その負の側面の一つとして絵を描くことや絵画を嫌いになっていく児童が増える時期だと授業で伺っていたので、不安が全くなかったと言えば嘘になります。

　しかし蓋を開けてみれば、児童たちは目の前にある絵画をじっくりと鑑賞し、仲間の意見も聞きながら自分なりの作品への解釈を手にし、ある意味作者よりも深い視点で作品の良さを発見した児童もいました。特別支援学級の児童も、非常に面白い解釈が次々と出してきました(そしてそれをまとめる先生の手腕がこれまた見事なこと…)。私は作者側だったのですが、絵に新しく面白い解釈が加わっていくのが楽しくて仕方がなかったです。こういった作者の意図を離れた解釈ができ、それが正当な価値としてそれぞれの人の中に残ることが美術の大きな魅力だと再認識する一つの良い機会になりましたし、美術に限らない児童の可能性を見ることができたことも良かったと思います。

　私個人としては反省点しかないのもありますので、また機会があれば挑戦してみたい所存です。この記事をご覧になったムサビ生の皆様や全国の先生方、次は一緒にどうでしょうか？

（油絵学科一年　塚本悠斗）

今まで、対話型鑑賞中に意見が次々と出てくる際、児童達はその中でお互いの発言を聞けていて、それぞれの違う見方にしっかり意識が向いているだろうと思っていた。しかし(もちろんお互いに意見を聞けていることも多くあるが、)三澤先生の反省会でのご指摘にもあった通り、今回実際に初めて対話型鑑賞を見学したり、自分がファシリテーションをしたりした際、様々な意見がどんどんと出てくる場合に児童は｢(自分が)話す｣ことに意識が向いており、違った見方をするクラスメイトの発言をあまり聞けていない可能性も少なからずあると感じた。そのため、より対話型鑑賞を効果的にさせるためには、話を広げるだけではなく、(他人の意見に注目させる意味でも)質問をして深める作業が思っていた以上に必要になると思った。

（油絵学科三年　尾畑さくら）

今回のこの活動は、自分にとって初めての対面での対話型鑑賞でした。

私たちの作品に対する子どもたちの反応が非常に新鮮で、なおかつ対話しながら鑑賞することを楽しんでくれたので、この活動を行うことができて良かったと感じています。

鑑賞していく中で、作品に対してある子どもが言った気づきや考えを他の子が自分の考えと繋げていく様子も見られました。また、そこから皆で発見し共有することで、お互いの気づきや考えについて理解することができたのではないかと思います。活動を終えて、自分自身のファシリテーターとしての気付きや課題を改善し、さらに充実した対話型鑑賞の活動ができるようにしたいです。

（油絵学科三年　持田真奈）

私は前回鑑賞プログラムに参加したことがある。しかし対面での参加も、また、ファシリテーターとしての参加は初めてだった。前はオンライン媒体で生徒と話したため、現場の雰囲気を直接感じられなくて、なんとなく先生の後話から推測するしかできなくて惜しかった。直接現場で子供と言葉だけでなく、手振り身振りで対話をしながら、他人の作品を扱って進行することはなかなかできないのでとても大事な経験だった。さらに授業だけではなく、終わった後や休み中私の作品をみて質問をしてくる子供たちがいて楽しくて嬉しかった。まだどうしても人前で喋るには緊張しちゃって思ったより自然にできないことが残念だが、これからも様々なプログラムに参加して発展して行きたい。もう二度も同じ作品を使っちゃって呆れたので、今度は新しい作品で参加したい。

（芸術文化学科三年　チェソンウン）

若葉台小学校さんは武蔵美のすぐ近くにあり、新設されたピカピカの校舎と元気いっぱいの児童たちの素敵な小学校でした。これからも旅ムサを通じて交流を続けていきたいです。

（文章　飯塚叶子）