7/14 奄美市立小湊小学校 黒板ジャック!
黒板ジャックの当日を迎えました、児童が登校する前に小学校で待ち伏せです。
早い子は7時半には登校してきました。
1,2年生の教室
3,4年生の教室
5,6年生の教室
5,6年生の黒版には、教室にあるものがいくつか隠されて描かれています。それをさがしてしています。
子どもたちは互いに話しながら作品を見ています。自然に鑑賞会がスタートしていきました。
朝の会が始まりました。1,2年生教室。低学年は5人です。
5,6年生の高学年教室は2人です。健康観察や、今日の目標の発表など、大規模校と同じような朝の会が進んで行きます。
地域の方々も黒版を見に来ました。
朝の会で、学生が子どもたちに作品の説明や大学での勉強の話しをしていました。
1,2年生の教室では、作品鑑賞を進めていったら、「ここがまだ十分でない」と子どもたちに指摘され、描き足してもらっています。子どもたちは鋭いです。
学生の描いた作品に手を入れるのは、子どもたちにとっても緊張する瞬間です。真剣さが伝わってきました。
最初のチョークを入れるまでとても時間がかかりました。その考えている間、どこをどうしたらよくなるのか、絵を真剣に見て考えていたのでしょうね。とても密度の濃い時間のような気がしました。
そして時間になり、黒版の絵が消されていきました。
全校児童とと記念写真
1,2年生の1時間目は体育でした。学生と鬼ごっこが始まりました。
旅ムサ初の複式学級。たった9人の全校児童でしたが、子どもの反応は大規模校と変わりません。
最初に教室に入ってきた子どもは、黒版の絵に驚きながら、一人だとその状況にどう対処してよいのか分からず、至って平静を装い、カバンを開け提出物を出したり、着替えたり、日々行っている行動をとるのです。それもなるべく黒版を見ないようにして。
ところがもう一人友だちが入ってくると、それまでの態度が一変して、それまで心にためておいた疑問や感動、言葉を、堰を切ったようにその子に投げつけるのです。
少し落ち着くと、今度は絵の読み解きや批評が始まります。自然と、友だちと会話をしながら、絵に込められたメッセージを発見したり、描き方に興味を持ってみたり、絵そのものの鑑賞が始まったり。
授業では、意図的、計画的に鑑賞の活動を展開していきますが、ここでは子どもたち自ら主体的に鑑賞活動が始まります。子どもたちが構えて望む授業との大きな違いは、やはり黒版を見たときの初見の驚きなんでしょう。
登校したら突然あった黒版の絵、無防備な子どもたちにとって、話さなくてはいけないのでは無く、話したくてたまらない状況がそこに生まれるのです。
造形活動は(鑑賞も含む)このように人の内側からわき起こる表したい衝動が起点となって生まれていくのだとあらためて感じました。児童数が少なく、一人一人の様子が手に取るように分かる学校だからこそ、その様子がはっきりと感じた黒板ジャックでした。
そしてもう1点、強く感じたことがありました。
それは、日本という国の教育力です。今回は奄美大島のとっても小さな小学校にお邪魔をしましたが、都会と変わらない教育がされています。あたりまえと言えばあたりまえですが、学習指導要領というスタンダードで津々浦々の教育が保障されているということです。
一方、その教育は、身につける知識や技能など明快な正解不正解の答えがある教科に対しては、十分その指導要領は客観的なスタンダードとなり得るけれども、図画工作・美術のような、一つの客観的な型が存在せず、育てる能力が個人の多様な表現を介して現れる教科に関しては、教師の造形的なリテラシーが何より重要であるということを改めて感じました。即ち、図工美術は教師の力に大きく左右されるということです。その能力とは、子ども一人一人をしっかり見ようとする教師の姿勢や環境によって、教師自身が学び、身につけていくのでしょうね。
丁寧に子どもと関わっていくことが、多忙化している教師が多い日本の教育の課題なのでしょう。
(みさわ)
早い子は7時半には登校してきました。
1,2年生の教室
3,4年生の教室
5,6年生の教室
5,6年生の黒版には、教室にあるものがいくつか隠されて描かれています。それをさがしてしています。
子どもたちは互いに話しながら作品を見ています。自然に鑑賞会がスタートしていきました。
朝の会が始まりました。1,2年生教室。低学年は5人です。
5,6年生の高学年教室は2人です。健康観察や、今日の目標の発表など、大規模校と同じような朝の会が進んで行きます。
地域の方々も黒版を見に来ました。
朝の会で、学生が子どもたちに作品の説明や大学での勉強の話しをしていました。
1,2年生の教室では、作品鑑賞を進めていったら、「ここがまだ十分でない」と子どもたちに指摘され、描き足してもらっています。子どもたちは鋭いです。
学生の描いた作品に手を入れるのは、子どもたちにとっても緊張する瞬間です。真剣さが伝わってきました。
最初のチョークを入れるまでとても時間がかかりました。その考えている間、どこをどうしたらよくなるのか、絵を真剣に見て考えていたのでしょうね。とても密度の濃い時間のような気がしました。
そして時間になり、黒版の絵が消されていきました。
全校児童とと記念写真
1,2年生の1時間目は体育でした。学生と鬼ごっこが始まりました。
旅ムサ初の複式学級。たった9人の全校児童でしたが、子どもの反応は大規模校と変わりません。
最初に教室に入ってきた子どもは、黒版の絵に驚きながら、一人だとその状況にどう対処してよいのか分からず、至って平静を装い、カバンを開け提出物を出したり、着替えたり、日々行っている行動をとるのです。それもなるべく黒版を見ないようにして。
ところがもう一人友だちが入ってくると、それまでの態度が一変して、それまで心にためておいた疑問や感動、言葉を、堰を切ったようにその子に投げつけるのです。
少し落ち着くと、今度は絵の読み解きや批評が始まります。自然と、友だちと会話をしながら、絵に込められたメッセージを発見したり、描き方に興味を持ってみたり、絵そのものの鑑賞が始まったり。
授業では、意図的、計画的に鑑賞の活動を展開していきますが、ここでは子どもたち自ら主体的に鑑賞活動が始まります。子どもたちが構えて望む授業との大きな違いは、やはり黒版を見たときの初見の驚きなんでしょう。
登校したら突然あった黒版の絵、無防備な子どもたちにとって、話さなくてはいけないのでは無く、話したくてたまらない状況がそこに生まれるのです。
造形活動は(鑑賞も含む)このように人の内側からわき起こる表したい衝動が起点となって生まれていくのだとあらためて感じました。児童数が少なく、一人一人の様子が手に取るように分かる学校だからこそ、その様子がはっきりと感じた黒板ジャックでした。
そしてもう1点、強く感じたことがありました。
それは、日本という国の教育力です。今回は奄美大島のとっても小さな小学校にお邪魔をしましたが、都会と変わらない教育がされています。あたりまえと言えばあたりまえですが、学習指導要領というスタンダードで津々浦々の教育が保障されているということです。
一方、その教育は、身につける知識や技能など明快な正解不正解の答えがある教科に対しては、十分その指導要領は客観的なスタンダードとなり得るけれども、図画工作・美術のような、一つの客観的な型が存在せず、育てる能力が個人の多様な表現を介して現れる教科に関しては、教師の造形的なリテラシーが何より重要であるということを改めて感じました。即ち、図工美術は教師の力に大きく左右されるということです。その能力とは、子ども一人一人をしっかり見ようとする教師の姿勢や環境によって、教師自身が学び、身につけていくのでしょうね。
丁寧に子どもと関わっていくことが、多忙化している教師が多い日本の教育の課題なのでしょう。
(みさわ)
by tabimusa
| 2015-07-19 00:51
| 旅ムサ2015
|
Comments(1)
Commented
by
浅倉浩
at 2015-07-20 21:11
x
黒板ジャック、かっこいいですね!ジャズミュージシャンやダンサーのインプロみたいな凄みを感じます。
ユウト君いい経験してますね!
これからも楽しみです。
ユウト君いい経験してますね!
これからも楽しみです。
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