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1月20日 東大和5中旅ムサ

こんにちは。大学院版画2年の中田です。
修了制作を終え、久々に鑑賞授業に参加させて頂きました。場所はムサビる!でもおなじみの東大和五中です。未至磨先生がいつもの笑顔で迎えて下さいました。
朝の打ち合わせの風景。

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参加した学生は全部で9名。未至磨先生が導入を行い、2年生対象でクラスを3グループに分け、2作品を鑑賞しました。私は旅ムサの授業の雰囲気を少しずつ思い出しておりました。
外部の人が多く出入りしているせいか、生徒たちはいつも通りの様子で、むしろ、学生の方が緊張しているのでは・・・?と言った状況でした。
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今回初めて、ファシリテーターを務めた工デ2年の梅内さん。油3年の大森さんの作品を鑑賞中です。生徒たちが単語ではなく、ファシリテーターが聞かなくとも「何でそう思うのか」という部分まで踏み込んで発言をしていました。
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大森さんの作品は、3年前の作品を持って来て鑑賞に臨みました。今つくった作品でなくとも、対話型鑑賞で用いることで作者自身が新しい発見をすることもあります。実際に触り、質感を感じることで発言が大きく展開することも。彼らにとって絵画は教科書の図版で目にすることはありますが、絵画の物質感をこんなにも直に感じた体験は初めてだったのではないでしょうか。
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生徒が全体的に話すことを楽しんでいる雰囲気の中で、最後まで話さなかった生徒が「最後に作者に聞いてみたいことありますか?」の質問に「どうやって描いているんですか?」と質問したそうです。


こちらは油院1の青木さんが作品について語っています。私がファシリテーターを務めさせて頂き、この作品は現在、東大和五中での公開制作で描いている作品でもあります。生徒たちが興味津々で青木さんの話に聞き入っていました。ファシリテーター要らないかもしれないと感じるくらい、生徒たちが自分の意見をしっかりと述べ、相手の意見を聞いている姿勢が印象深いです。また、私自身は生徒たちの作品を見ていくパワーに悔しさを感じていました。
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こちらは同じく公開制作で描いている作品で油2年の星さんの作品。水族館へいった時に感じたクラゲの印象、そしてその水族館へ向かうまでの道のりに感じたことを描いた作品です。私が一番右端の作品について言及しようと投げかけています。
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星さんが作品ついて語ります。絵の内容だけでなく、描く際に使うオイルの話にも展開していきました。
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最後は全員、美術室に集合し、まとめを行います。生徒から今回の授業の感想を聞き、その中で作者の話が聞けたことが新鮮だったことや友だち同士で話しながら鑑賞できたことでより作品への見方が深まったと、美術って自由なんだという感想が上がっていました。
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旅ムサではいつも授業後、反省会を行うのですが、生徒にたくさん刺激を受けたことにより反省会がなかなか終わりませんでした笑
「どう思う?」と投げかけたら、逆に質問し返されたり、生徒の見るスピードに追いつけなかったというエピソードも・・・・学生それぞれに課題を発見し、次につなげていきます。
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私は2年前、卒業制作を終えた直後に東大和五中で公開制作をさせて頂きました。そのときも鑑賞をさせて頂いたのですが、そのときとは明らかに生徒たちの姿、学校の雰囲気、先生方の様子、あらゆることが変わっていることを感じました。クラスの中で意見を言いやすい雰囲気が作られていることも実感しました。生徒があの時と違うのは当たり前なのですが、彼らの作品を見る目が「考えている目」をしていました。なにより、これまで6年間、旅するムサビに関わってきて感じていた作者の話が答えとなってしまう現象がこの鑑賞ではほぼなかったように思います。
彼らが自分の意見、友だちの意見、作者の意見を彼らそれぞれの中で比較し、つなげたり、切り離したりをしてなんとか言葉を紡ごうと、身振り手振りも交えて表現しようとしている姿がそこにはありました。この一連の思考の流れはとても力の要ることであり、この日生徒たち自身もたくさんの刺激を受けたのではないかと思います。
単なる自己主張に終わるのではなく、次々と自身の見方を発言する中でも、他者の意見を認め、それに対しての自己の意見をまた出していく、それがこの授業の要です。その力を養うために美術を使っているだけであることを感じています。様々な分野が生徒たちの力を育んでいく学校教育の中で、本物の作品があること、その作者が居ること、つまりは、私たちが美術という専門を持って入り込んでいくこと、それがより明確に感じることので来た鑑賞でした。
美術がどのように社会の中で機能するのか、その可能性を信じつつも美術の枠の中だけで考えてしまわないよう一種引いた位置で捉えていくようにしていきたいと強く思います。

また、明日、別のクラスで授業が行われます。
明日は明日でまた違う化学反応が起こることと思います。

継続的に私たち受け入れて下さる東大和五中の半田校長先生を始め、未至磨先生、諸先生方に感謝申し上げます。

写真:三澤先生
文章:中田
by tabimusa | 2015-01-21 00:03 | 旅ムサ2015 | Comments(0)


旅するムサビプロジェクト(通称:旅ムサ)は、武蔵野美術大学の学生が全国各地の小中学校を訪れ授業を実施する取り組みです。


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